☑︎はじめに
大月:取り敢えず、みなさんツバルお疲れさまでした!そして遠藤さんありがとうございました。
ニーナ&イアン&サトシ:ありがとうございました!
大月:今回の旅は遠藤さんの案内のおかげで、一般の旅行ツアーでは行けない場所、例えば首相官邸にお邪魔させてもらったり、地元の催し物に参加したりと、色々と特殊な経験をさせてもらえました。
ニーナ:遠藤さんいなかったら、何も経験できなかったね。
サトシ:地球の歩き方に4ページしか載ってない国だし(笑)主要な移動手段のレンタルバイクのこととか、食事をどうしたら良いのかとか、基本的な生活手段すらもよくわからなかったですね。
遠藤:そうだよね、確かに。
大月:もちろん渡航前にネットで調べはしたんだけど、生活に関する情報が少なすぎて。
サトシ:なのでこの対談のコーナーでは、僕らの体験を通して、リアルなツバルの雰囲気や旅行者に役立つ情報を提供できたら良いと思ってます。
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☑︎ツバルに到着した初印象
大月:ツバルに着いて初印象どうだった?
ニーナ:まずは空港と滑走路のインパクトかな。上空からちっちゃな弧島の中に滑走路が見えた時に「ああ、これが噂の滑走路か」って。
サトシ:島の大きさを考えると大部分を占領してるよね。しかもフェンスとかもないから、人も普通に立ち入れて、家とか豚小屋とかも滑走路のすぐ脇にある(笑)
大月:ツバルって、公園がないから滑走路が公園なんですよね。
遠藤:そうそう、あんな平べったくて舗装されてるところは他にない。
イアン:飛行機も週に2便しか来ないから、離着陸する時間以外は普通に山下公園のようになってる。昼間はスポーツをする場所。夜はイチャイチャする場所で(笑)
ニーナ:(笑)
サトシ:金曜日の午後はもう仕事を早めに切り上げてみんなスポーツしてましたね。
大月:すごいいっぱいやってたよね。サッカーとかバレーボールやバスケも。ギターで弾き語りやってる青年もいたな。
サトシ:空港はシンプルというか簡素の極み(笑)。普通の空港ってモニターとかちゃんと何かしら付いているのに、ツバルの空港には一つもモニターがない。
ニーナ:そういうレベルじゃない。壁がない。屋根と柱しかない。
イアン:入国審査がほぼ素通りできる。
大月:イミグレーションカウンターが常設されてないんだよね。入国審査のタイミングで机が運び込まれるっていう(笑)
ニーナ:あっさりと空港の外に出れて。出たらすごく暑かった。
イアン:暑かったねー!いよいよツバル始まるぞーみたいな!
大月:気温は想像通り暑かったし、日焼けもすごかった。真っ黒になったし、滞在中に紫外線急性脂漏性アレルギーになって、腕と手に水疱ができまくった。
ニーナ:ブツブツだらけで気持ち悪かった(笑)
サトシ:とにかく暑かったですね。日焼け止めは塗っても無駄ですもんね(笑)。それで、俺らは入国審査通った10秒後にカトちゃんと出会ったじゃないですか。
*カトちゃんはNPO法人ツバルオーバービューの現地日本人スタッフ。29歳。駐在歴は2年。海外青年協力隊として様々な僻地でのボランティア活動の後にツバルオーバービューのスタッフとなる。アホな走りチーム(大月とサトシ)はツバルオーバービューチーム(遠藤、イアン、ニーナ)が離島を訪れている時に、20日ほど遅れて現地入り。
遠藤:そうか、そうか。
サトシ:遠藤さんがいない中、ちゃんと現地スタッフの人に会えるのかなーって心配してたんですけど、すぐにカトちゃんが現れてくれて。
大月:日本人に会えた安堵感もありつつ、凄い変な帽子かぶってる独特な人が現れたから、半分不安になるっていう(笑)
遠藤:牛乳パックで作った帽子ね。
イアン:最初見た時は言葉が出ないよね。あれ?ゴミをかぶってるのかなって(笑)
ニーナ:そんなカトちゃんだけど、現地の人たちにすごく信頼されてて、頼もしかった。
大月:そうそう、一緒にカトちゃんと歩いててもいろんな人が「カトッ!カトッ!」って話しかけてくるから。島の人たちって日本人見ると、みんな「カトッ!」て言ってくる。バイクで道走ってるとすれ違う人が「ヘイッ!カトッ!」って。だからカトッ!っていうのが日本人という意味で使われてるんじゃないかと思ったくらい(笑)
イアン:TOYOTAとかHONDAみたいなレベルでKATOが浸透してますよね(笑)
遠藤:そこらへん、ツバルの人って人種差別とか一切ないから気持ちいいんだよね。
☑︎ツバル人の人柄
イアン:みんな挨拶してくれるって話は聞いてたけど本当にそうで。結婚式とかもなんでこんな呼んでくれるのってくらいウェルカム。
サトシ:葬式にも他人を呼ぶってのも良い!
イアン:あらゆるところに何の隔たりもなく人を呼んでくれるところとか良くしてくれるというのは国民性ですね。
大月:道行く人にこっちから「タロファー*」って声かければ必ず笑顔で「タロファー」って返ってくる。
*タロファーはツバル語で「こんにちは」の意味。
サトシ:ちなみに英語教育がされているので、コミュニケーションには困らない。
ニーナ:あと目が合うと顎をクイッってあげる仕草をしてくるんだけど、あれも挨拶の意味なんだよね。明るくて親切な人たちに囲まれてるって感覚があった。人柄国家。
遠藤:人柄は本当にいいね。
サトシ:貧しい国にありがちな押し売りや物乞いもまったく居ないのが良いですよね。
イアン:豊かではないけど、貧富の差がないから貧欲じゃないんだろうな。
サトシ:あとそもそも売りつけるモノが無いっていう(笑)
大月:一人だけ強烈な物乞いいたけどな、会うたびに「スモーク!プリーズ!」って(笑)
イアン:ラサロね(笑)。その話は後ほど。
大月:物乞いじゃなくて、挨拶って意味で子供たちもガンガン声かけてくるよね。
サトシ:万国共通ですが、子供は無邪気で本当に可愛いです。
大月:すれ違いざまに「ピース!ピース!」ってピースしてくるんだけど、後々わかったのはイアンが子供たちにピースを広めてたっていう。
イアン:あれは別に狙っていたわけじゃなくて。
ニーナ:嘘つけ!狙ってたでしょ、ピース教を布教するんだって。
サトシ:俺と大月さんはイアンたちよりも20日遅れでツバルに入ったからさ、すでにピースが広まってたから最初あれが普通なんだと思ってた(笑)。
遠藤:あれなぁ。次にテレビ局連れて行ったときにさ、ひどいことになるわけよ。「ピース、ピース」って「番組にならないよ、これ」みたいな(笑)
イアン:いや、なんか、幸せでしたね、あれは。最後、僕知らない子からもピースされましたもん。子どもから伝染していって、島の全然違うところにいるのに、向こうの方から「ピース!」とか言われて。
サトシ:最終的にはイアン自身もピースってあだ名で呼ばれてたもんね(笑)
イアン:けど、結構プッシュが必要なんですよ。みんなシャイだから。
大月:ウエルカムだけどシャイなんだよね。そういうとこ可愛らしくて良いんだよな。
遠藤:子どもはね、シャイだね。
ニーナ:大人もシャイじゃないですか?最初すごい嫌われてるなって思ってたんだけど、お話するとめっちゃフレンドリーってことが何回もあった。
遠藤:そうか。シャイだったんだね。
ニーナ:遠藤さん、ツバル滞在が長すぎて忘れてるんじゃ(笑)
イアン:あと人の雰囲気でいうと、結構昼間からウム(伝統的なツバルの家)で寝てる人とか、道端でだべってる人とか多かった。働いてないのかな?みたいな。
サトシ:時間がスローな感じで、あくせくしてる感じはない。
大月:イアンとガソリンスタンド入ったら店の真ん前で昼間から泥酔して寝てる人いて、あれは笑った(笑)
イアン:店員さんも注意しないんで放置なんですよね(笑)
ニーナ:のどかだなぁ。
☑︎フナフティの風景
サトシ:印象に残ってるのが、星がすっごい綺麗だった。天の川見えましたね!
ニーナ:夜になると明かりがほとんどないからよく見える。みんなで滑走路に見に行ったね。流れ星も見えるし、ロマンチックだったな。
サトシ:あとは植物がTHE南国って感じで、背丈も高いし葉っぱもデカくて存在感すごかった。
ニーナ:ヤシの木が道路に覆いかぶさってたもんね。
イアン:ココナツとかパンダナスの実とか、果物も自然に生えててトロピカルな雰囲気はすごかった。
ニーナ:うん、木とかだけじゃなくて家とか洋服もめちゃくちゃカラフルで南国感あった。
大月:建物は大きなビルなんかは1つもない。
サトシ:政府庁舎とホテルが最も大きい部類ですかね?それでも3、4階建てって感じでしたね。
イアン:煙突があるような工場なんかもまったくなかったね。小さなバイクの修理屋さんがあるくらい。
ニーナ:隣国のフィジーと比べると近代化のレベルが全然違う。ツバルは南太平洋諸国の中のド田舎だ、って言ってる人がいたんだけどその通りだった。
サトシ:ほんの数十年前までは手付かずの自然の中で生活してたんだろうなーって想像できるよね。
遠藤:僕が始めて訪れた時は、自然と生活が調和してる本当に美しい世界だったんだよ。今でも離島に行けばそういう生活なんだけどね。
大月:俺、最初風景で驚いたのはバイクの量。こんな孤島にこんなにバイクがあるかっていうくらい。
サトシ:そこんとこ東南アジアみたいな感じでしたね。しかも粗悪で騒音がひどいバイク(笑)
イアン:見たことないメーカーばっかりだったね。
ニーナ:しかもマフラーの部分にカバーがついてないから私火傷したしね。。。
大月:俺も火傷した。ジュ〜って肉が焼ける感じで。
サトシ:ヘルメットなしで、ちっちゃい子を前や後ろに乗せてるのも普通でしたね。小学校の送り迎えもノーヘルバイク。
大月:僕らもレンタバイクは滞在中ずっと借りてたけど、最初な、サトシが調子こいてエコぶって、「俺は自転車借りるんで」って。数日後に汗ダラダラ流しながら「俺、来週からバイク借ります」って(笑)。
サトシ:それは財布の問題ですよ!
イアン:自転車はバイクの半額で借りれるもんね。
大月:ハードコアにエコってたわけじゃないんだ?
サトシ:そんなわけないじゃないですか。
ニーナ:(笑)
サトシ:だってあの暑さの中、機材持ってチャリとか辛過ぎだから!
☑︎めちゃくちゃ狭い島
大月:初日にさ、いきなりタクシーで島の北から南まで案内してもらったじゃん。
イアン:はいはい、島唯一のタクシーでですよね。バイクは沢山あるけど車はほとんどない。
大月:それでさ、要所で立ち止まって案内してもらったにも関わらず、数時間で行けちゃったじゃん。あ、これで終わりなんだと思って。「あれ?俺もう北から南全部見たの?この島」と。
イアン:めっちゃ小さい。大雑把には1日で見れちゃう。
遠藤:島は全長15キロ。
大月:時速30キロで止まらずに走って30分。そういうレベル。
遠藤:あの狭さで6000人暮らしてるからね。
イアン:島狭いし、滑走路がある中心街から抜けて行くと、北も南もどんどん細くなっていく。北にあるコーズウェイって呼ばれてる島で一番細い所があって、もう右側の海と左側の海が常に視界の中にある状態が続くから、それはすごかったですね。晴れの日は絶景。
大月:暴風の日にコーズウェイを通ったとき、すごく心細くて不安な気持ちになった。海がもうほんのちょっと押し寄せたら沈むなって。。
イアン:脆弱ってこういうことなんだって。海面上昇に対して。
サトシ:しかもね、ヤシの木とか普通に横たわってるしね。
大月:暴風の日ってのが、本当に強烈で。たまに家の屋根が飛ぶっていうけど、もうバサバサバサ!ガンガン!っていろんなとこから聞こえてくる。自然って脅威だなあって改めて感じたんだけど、そんな日に現地の人は家の前にでっかいヤシの葉っぱを並べて風よけ作ってたじゃん。あれ良いもの見たなと思って。生活文化。
サトシ:自分たちで風よけ作るんだ?って感じですよね。
遠藤:風よけはもっと綺麗に編み込んだやつで作ったりもする。すごく美しいんだよ。
ニーナ:へえー。
遠藤:あれは、離島から来てる人たちなんだよね。お金がないからブルーシート買えないんだよ。だからヤシの木の葉で。
イアン:雨の振り方も半端じゃない。ドザザザーーー!!って10秒外に出たら全身ビショ濡れになる。豪雨の日は行動を諦めてずっと部屋でおとなしくしてたね。
大月:俺とサトシはな、雨の日は将棋をやってたんだけど、最初俺が連勝してて気持ちよかったのに、途中からまったく勝てなくなってサトシが調子こいててムカついたなー。
サトシ:圧倒的な成長力で追い抜いて行きましたよね(笑)
大月:そういうこと言うんだよな。一瞬関係悪くなったもんな、お互い部屋に篭って本とか読み出しちゃって(笑)
サトシ:いやいや、俺は本が読みたかったんです(笑)
イアン:大月さんとサトシはゲストハウスに泊まってたから将棋してられたけど、俺とニーナが泊まってたツバルオーバビューの事務所は、最初見た印象が「これは廃屋かな?」ってくらいで(笑)
ニーナ:暴風雨の日は建物がギシギシいってて。
遠藤:確かに(笑)。
サトシ:俺らがまだ日本にいた時に、イアンから「ツバルは驚きの連続だよ」でメッセージが来てて、「やべー、超不安」って思ってたんですけど。自分たちのゲストハウスに荷物置いて島一周回って、「あれ、そんな驚きないなあ」みたいな。
大月:特にネガティブな意味での驚きはなく、割とスムーズで、人柄もみんな良いし。
サトシ:でもそれは、俺らがツバルオーバビューの事務所にまだ行ってなかったからなんですよね。事務所を見た瞬間に納得(笑)
大月:あそこで寝泊まりをしていると、あそこがツバルの基本になるから。それは認識変わる。事務所の様子は、まず外観から床下をのぞき込むと、基礎の部分ていうの?普通になんか、添え木で。
イアン:これはジェンガ?みたいな(笑)
大月:ジェンガみたいな基礎の上に小屋が立ってて。まあ、外見ももちろんボロいんだけど、中に入って上を見るともう天井が。
イアン:天井に穴が空いてて。隕石でも落ちたのかな(笑)
大月:すごい大穴が空いてて、で、ネズミがカサカサカサカサカサ。
イアン:それでベッド見るじゃないですか。ただの木。もう、ね、板が敷いてあるだけの。
大月:それで「ここで毎日寝ろ」って言われてな(笑)
イアン:ここでノーと言っても寝るところないから、「はい!分かりました!」って。
遠藤:その話もうよくない?(笑)
一同:(笑)
大月:で、話戻すとさ、雨が降ると子供たちが「わーい!」って外に出て走り回ってるんだよな、裸足で。そういう風景はツバルっぽいなーって、ちょっと感動した。
イアン:あと豪雨の中でシャンプーしてる人もいたね(笑)
サトシ:それもツバルっぽい。